千駄ヶ谷駅から徒歩5分|笠茂歯科医院

咬合治療(噛み合わせ治療)

Occlusal treatment

目的

噛んだ時に左右の歯が均等に接触し、左右の筋肉がストレスなく働くことによって日常において歯を意識しないで生活できるお手伝いをすること。

治療方針

左右の歯が均等に接触し左右の筋肉がストレスなく働くよう問題のある歯牙の接触を改善する。

歯科治療に起因すると考えられる咬合不調に対応するため天然歯牙部分の削合(削ること)は治療初期には禁忌です。

この繰り返しによって噛む位置が定まらなくなって来院する方が非常に多いです。

問題は、患者自身が訴える部位と咬合紙(カーボン紙)で印記される部位が一致することです。この部位を削合した場合その時は症状が軽減するのですが、翌日には症状が悪化する場合が非常に多いです。しかし、同じ部位の咬合接触しか確認できないためその部位を削合してしまします。この繰り返しによって、さらに症状が悪化し収拾がつかなくなることが多くみられます。

歯は明確な骨格ですので削合すれば元には戻りません。医療の中で簡単に骨格を変化させられる(してしまう)のは私たち歯科医師だけです。

 私は、問題のある歯牙が天然歯である場合は他の歯牙での対応を優先します。問題を抱えている方の口の中の人工物は全てエラーと考えていますのでこれらを変化させることにより対応します。

歯、顎は骨格ですがこれらを動かし機能させるのは神経筋機構です。私たちの体は一枚皮の皮膚で外界から保護されています。その内面は全身の筋肉をコントロールする筋膜で覆われています。これらの最終結合点は手足にあると考えています(拙著「歯はいのち!」参照)。

地球上に存在するものは全て重力に支配されています。このため、大地に接地する部位が最も重要になります。二足歩行する私たちでは、足底(足裏)がこれに当たります。完全直立二足歩行は全身の筋肉が総動員され達成できます。しかし、人は常に同じ状態ではありません。全身の筋肉が微妙なバランスでコントロールしています。これを可能にしているのが筋膜です。つまり、全身は一枚の膜で覆われその歪みが思わぬ体調不良を起こしてしまいます。

これらの歪みは、最終的には頭部に存在する自由に動ける下顎の位置に影響します。

体の歪みを何とか抑えている骨格である歯牙を変化させてしまうと、歪みが増長し収拾がつかなくなると考えています。

当医院では、口があかない(開口障害)新患でも必ず位相差顕微鏡で自身のプラーク

(歯垢)をお見せしながらブラッシングの必要性と有効性を説明し、プラークを赤く染めブラッシング指導します。

8割の方はこれで開口障害がほぼ改善します。ブラッシング指導によって普段刺激されていない口腔粘膜を刺激できるためと考えています。

前述した筋膜の結合点をマッサージするのも効果的です。最初痛いですがお風呂に入りながらなどリラックスした状態で丁寧によくマッサージしてみてください。

丁寧なブラッシングとこの足の中指の根元のマッサージで全身の筋膜の歪みがかなり改善します。

治療を受ける前に是非試してください。

図1 - 咬合治療

診査、診断

これらの問題を解決するには、綿密な診査とそこから導き出される診断が必要です。 治療において基本中の基本であり最も重要なのは診査、診断です。

診査

問診:診査は問診から始まりますがこれが最も重要です。

   症状が発現した治療歴を確認することは原因を特定するのに必要不可欠です。

視診:顔貌、歩き方、立った姿勢、治療台に寝た時の足の傾き等を診ます。

触診:筋触診が主ですが、私が行う触診法は歯科で一般的に使われているものではなく

   肩甲骨と後頭部の左右筋肉の差を診るもので、これにより問題を起こしている

   歯牙を特定することが出来ます。

X線診査:左右顎関節の2D写真、CTによる3D写真。上下顎全体のCTによる3D写真。

     正面、側面の頭、頚部の2D写真(セファロ)。これによって頭頚部の骨格分析が可能になります。

模型による診査:模型を作成することにより口腔外(口の外)で顎の形、歯並びや歯の形を診査できます。模型を咬合器に装着することにより上下歯牙の接触状況の診査ができます。

口腔内咬合診査:非常に流れの良い材料であるシリコーンで上下歯牙の接触状況を保存しそれをバイトアイなどの分析機にかけ診査します。咬合紙(カーボン紙)も使用します。

ME機器による診査:顎の動きをコンピュータで解析し、咀嚼筋(噛む筋肉)の筋電図を記録できる機器(K7)を使用しています。

診断

上記の診査から得られたデータを分析し診断します。 私が最も重要視しているのは問診と筋触診です。身体は常に変化しますので筋肉の反応をとらえなければ問題の本質をとらえることはできないと考えています。

治療

診断に基づき治療方針を立てます。

治療としては、最も問題であろうと思われる歯牙の不調和を改善するためにどうするかです。当医院に噛み合わせの問題を抱えて来院されるほとんど方は、削合(削られ)されて低くなっています。咬合紙(カーボン紙)のみで対応するとそうなってしまします。下顎は3次元的に捻じれ調整すればするほど悪化し、簡単には元の位置に戻ってくれなくなります。治療された歯牙の反対側に顎を捻じる原因があることがほとんどです。この原因歯を特定し対応することが最も重要です。それは、天然歯牙部分ではなく人工物であることがほぼ100%で、僅かな削合調整で症状が大きく改善することが多いです。原因歯の特定は私が行っている筋触診以外では出来ないと考えています。全顎的(全体に)低い噛み合わせの場合は。人工物を仮歯に交換するなどし対応します。

当医院では、治療初期の段階では骨格である天然歯を削合することはありません。